2009年 08月 22日
「デザインと人」 25人のインタビュー 佐山一郎 |
タイトルに「デザインと人—25interviews」とあるように、著者の佐山さんが
インタビューした25人の語りを集めた本です。佐山さんは「スタジオ・ボイス」
編集長を経て、現在も雑誌・新聞と活躍中です。辛辣なインタビューや相手を
自分の懐にとりこんでしまうその様子は、NHK・BSでの「アクターズ・
スタジオ・インタビュー」のジェームズ・リプトンを彷彿とさせます。
インタビューの相手はグラフイックデザイナー、工業デザイナー、
インテリアデザイナー、ファッションデザイナー、装丁家・・・など25人。
その中から「本」と仕事をしている人の言葉をいくつか紹介します。
栃折久美子 本の場合は最初から「用の美」です。純粋芸術じゃないんです。
その意味では、いまの大量生産の本、これは消耗品として作られている茶碗
などと同じですよ。
坂川栄治 仕掛ければ仕掛けるほど惨めになる。一生懸命、目立とうと
しても、何もしていない本が目立ってたりすることがあって自分の努力が
無駄になってるような気がするんですよ。
原研哉 カッコいい事務所というのはどうも苦手なんですよ。ハイテクな
感じよりシナベニヤでできた仕事場のほうがいいですね。デザインは場合に
よってはほとんど「工作」ですから・・・
菊地信義 仕事の受注がないときの僕はまったく痴呆状態で、食べる
こと以外、なぁーんの趣味もありませんから。デザイナーで他に趣味が
あるなんて信じられないですもんね。すべて仕事なんですから。見る物、
聞く物のすべてが・・・
「デザインと人−25人interviews」 四六判 並製 328頁
著者:佐山一郎 装丁:坂川栄治
発行:マーブルトロン 発売:中央公論新社(2007年7月)
by sustada
| 2009-08-22 01:48
| 四六判の心意気